8月 282009
 

SHARP NetWalker PC-Z1

シャープが小型モバイル端末NetWalker PC-Z1を発表した。
シャープの本格的なモバイル端末としてはWILLCOM D4など、携帯電話キャリアに縛られた物を除き久しぶりの製品となる。

今回の製品はいくつかの特徴があるが、OSにWindows系ではないLinux系のUbuntuを採用していること、CPUはARM系のFreescale Semiconductor社製のi.MX515を採用している点などが目立つ。

基本スペックとしては、CPUはi.MX515、メモリ512MB、内蔵ストレージ4GBでユーザエリア2GB、液晶パネルはタッチパネル対応の5型でWSVGA(1,024×600)、IEEE802.11b/g、USB端子、microSDHC対応となっている。

寸法は161.4×108.7×19.7/24.8mmでA6サイズ。わかりやすく言えば電子辞書と同等程度のサイズ。
重量は409g。バッテリ駆動時間はJEITA測定法で約10時間。

通常この種の製品は、Windows CEなどを使うか、Linuxを採用していてもユーザーが使える部分はガチガチに固めて、ほとんどいじる余地がないくらいにカスタマイズしてしまうようなことが多いが、この種の製品に関してはARM版のUbuntu 9.04ではあるが、基本的に素のUbuntuを採用している事が大きな特徴だ。
さらに、以下の4つの点で、この種の製品が受け入れられるかどうかも試されていると考えられる。

Ubuntuは受け入れられるか
Ubuntuに各種オープンソース系のソフトがプリインストールされており、ユーザーが自分好みのソフトを入れるのも自由になりそうだが、ある程度Linuxに慣れた方はいいとして、普段Windowsしか使っていない方にとって、まだまだUbuntuは難しい部分がある。
日本の大手企業シャープがこれを販売するということは、サポートも一通りやるのだろう。これを一般ユーザー向けに販売するのだから、OSのコストが無料でもサポートコストがバカにならない。

CPUパフォーマンス
ARM系CPUを採用し、消費電力が非常に低く、製品自体を小型に出来るので、このサイズ、バッテリ駆動時間を実現しているが、試作機を使う限りテキパキとした動作ではなく、もっさりとした操作感となっている。
Ubuntu自体軽いOSだが、この製品を見る限り、ARM系CPUでUbuntuのようなOSは十分なパフォーマンスがあるとは言えない。
例えばOpenOfficeのワープロソフトWriterを起動するのにかなり時間がかかり、何度もクリックしてしまうと、いくつものウィンドウが開いてしまうというような状態になる。
実際に文字入力するような場合には遅さはそれほど感じないし、CPUに動画再生関連機能があるので、ある程度高画質の動画も再生できるが、このもっさり感はいらいらしてしまう方も多いだろう。

無線LANのみの通信機能
通信機能はIEEE802.11b/gの無線LANしかなく、例えばWiMAXやイーモバイルの3G回線などに接続するためには、USB接続のアダプタが必須となる。ドライバの関係もあり、どれが使えるのかという情報も欲しいところだが、スマートに接続するとなると、このあたりの機能は本体に内蔵していた方が便利だろう。
もちろん内蔵していない方が、コストは下げられるし、スペースも省略できるし、キャリアに縛られるようなこともない。
しかし、この手の端末で、ちょっとメールを送受信するのに通信アダプタを取りつける手間も必要となると一気に使い勝手が低減してしまう。
Bluetoothも内蔵マイクも、マイク端子もないので、Skypeなどで音声通信も難しい。(そもそもARM版の音声対応IMソフトはあるのかという問題もある)

小型画面のインターフェース
5型のワイド液晶はタッチパネル機能もあり、光学的に指の動きを感知して操作できるオプティカルポイントの使い勝手はそれほど悪くないが、ユーザーが触れるUbuntuの画面自体、通常の物と同じで、文字サイズ、各種アイコン等のボタンがカスタマイズされていないため、使い勝手は良くない。
iPhoneのように、小型の端末はそれに合わせたUIが必要だが、この製品に関しては特にその部分のカスタマイズは一切していない。

インテルは現行のAtomプロセッサを改良し、このクラスの製品のCPUにAtomを採用できるように、小型・低消費電力化に向けて開発中で、速ければ2009年中、遅くても2010年前半にはこれと似たようなAtom採用機種が登場するだろう。
少なくとも、CPUパフォーマンスが上がるはずで、この製品のようなもっさり感は軽減されるだろうが、バッテリ駆動時間という点で不安も残る。

この製品の自由度は高いが、本格的に一般ユーザーがプリインストールソフト以外で活用するには難しい部分も多い。
起動3秒をうたっているが、レジューム状態からの復帰であり、Windows系での速くとも10秒程度に比べれば十分速いが、携帯電話のように時間もわからないほど一瞬とは比較にならないほど遅い。
インターフェースも作り込んでいるとは言えず、ソフトウェア面でも不安が残る。
発売しばらくすれば、実売は3万円台後半になるだろうが、ネットブックが4万円台なのに比べると割高感もある。

Microsoft Officeと高い互換性があるOpenOfficeでビジネス文書を編集でき、ネット接続機能も通常のノートパソコンと同等ながら、超小型端末という利点を一般ユーザーがどう感じるか。
通常の携帯電話でもある程度のことが可能だが、シャープの想定するビジネスユースにどれだけ受け入れられるか、Ubuntuのサポートコストはなど、試金石ともなる製品だ。

SHARP NetWalker
i.MX515

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