正しく音読や多読する方法

英語学習では音読が重要とされています。音読と似たような多読という学習方法もあります。
どちらも正しく行えば効果がある学習方法ですが、間違った音読や多読では何の意味もありません。

ここでは音読の方法を解説します。

そもそも音読は何のためにするか

英語に限らず、どの言語でも、その言語でよく使う表現がいくつかあり、その表現で使う単語を変更しただけの場合がほとんどです。

英語学習の音読は、単に英文を漠然と読むのではなく、しっかり意味が理解出来る文章を声を出して繰り返して読む事で、そのよく使う表現のパターンを体に身につける作業です。
この表現パターンを身につけて、いちいち頭の中で翻訳をしないでも、そのような文章の意味を直接理解出来るようにするための学習です。

このように、いちいち翻訳しないで、文章の意味を理解するのは直読直解などと言います。

その言語のネイティブは、文章を読んだり聞いたりして、いったん頭の中で理解しようとはしません。これを身につけるための学習が音読で、音読を繰り返してその表現が体に身につけると、文章の初めから徐々に理解していく、直読直解が出来るようになります。

自分のレベルにあった文章を音読しよう

一番短い音読は、単語帳の例文の音読、文法書など、その文章の意味や構造がわかる例文の音読です。
一般的に単語帳の例文は単語の意味はわかった状態で、構文もそこまで難しくないため、しっかりその文章の構造、文章の意味を理解して音読できます。
文法書の例文の音読の場合は、各単語の意味はもちろん、その文法がどのように使われているのか、文章の意味や構造もわかった文章の音読ができるので、積極的に音読するなら文法書の例文を使った方が良いでしょう。

このように、その文章を理解した状態で、読む音読は意味があります。

しかし、単語を並べただけで推定した意味しかわかっていない文章、どれが主語で述語なのかわからず、文章を正しく理解していない文章を読んでも音読の意味はありません。
おそらくそのまま続けていても、文章の意味がわかるようにはならないでしょう。

また、自分にとって簡単すぎる文章を読むのも音読の効果はかなり低いです。
簡単すぎる文章の音読は、発音の練習、文章を読む練習、文章を始めから理解していく練習にはなりますが、単語や文法の定着という意味での音読の効果はほとんどありません。

自分にとって、やっと理解出来るようになったくらいの難易度の、ちょうど良いレベルの英文を、文章の構造や文章自体の意味を理解出来る状態にした上で、何度も音読します。
音読は1回だけではなく、10回、20回と行って、その文章の意味をいちいち日本語に訳さないとわからないのではなく、英文の順番でそのまま理解出来るようになるように、音読を繰り返します。

初めてその文章を読んだときはまだ定着していなかった単語、文法や語法、その表現自体が、音読を繰り返すことで身につきます。

音読では、なるべくはっきりと声に出して読んだ方が効果的ですが、ボソボソ読むくらいでも効果はあります。
声に出さないで読むのは音読ではなく、黙読になります。黙読の場合、各単語をしっかり読まなくなる危険があるので止めましょう。

音読の前にやっておきたい基礎

音読は一般的に、何らかの文章を声に出して読んでいきます。
特に音読の初期は、音声がついている教材を使って正しい発音、イントネーションなどでの音読が重要です。

そのためには発音の練習が必要です。

また、単語と熟語の学習も必須です。

どのようなレベルの文章を読むかにもよりますが、基礎レベルの内容でも、中学レベルの単語や熟語が使われています。このレベルの英単語の意味は一瞬で日本語で言えるようにしましょう。

音読にちょうど良さそうだからと、英語圏の子ども向けの本を読む場合は注意しましょう。
基本は日本の中学レベルの単語や熟語が使われていますし、文法的にも難しくはありませんが、何かの名前などの名詞などを中心に、英検準1級や、1級クラスの単語が使われたりします。
例えば虫や動物の名前などが代表的なところです。

このあたりはどこまで学習するかは難しいです。
英語圏の子ども向けの本を読む場合は、そのような単語が出てくる事を想定して、本格的に音読を始める前に知らない単語の意味は、事前に調べておいた方が理解が早いと思います。

大学受験レベルの5000語くらいまでを覚えれば、一般的な文章ならあまり単語で困る事はないです。このレベルで一般的に使われている単語の95%程度を覚えた段階です。
これを98%程度にするには英検準1級レベルの9000語程度にする必要があります。

5000語から9000語までにする労力は、5000語までにするのと同等の時間がかかりますが、カバーできる単語の割合はそこまで大きくはありません。
音読で利用する文章のほとんどは、大学受験レベルの5000語程度の単語が完璧なら問題ありません。
出てきた文章の中に知らない単語が数個ある程度なら、音読には支障はないので、自分が読むカテゴリーの物で頻出する未知の単語を音読しながら覚えていく方が効率的でしょう。

文法や語法、読解はしっかりやろう

音読、多読では文章の意味をしっかり理解出来ている必要があります。

そのためには単語や熟語はもちろん、文法の知識、その文法を使った文章の読解力が必要になります。
単語はネイティブと同じくらいになるには2万語から3万語は必要ですが、前述したように5000語程度でとりあえず問題ありません。
文法もやろうと思えば切りがないですが、とりあえずは大学受験基礎レベルの知識をつけて、読解の学習へ進みましょう。

単語を覚えただけの段階でも、文法の知識が全くなくても、単語を並べるだけで簡単な文章なら意味はなんとなくわかるようになるでしょう。
この状態での音読はあまり効果はありません。

音読で重要なのは、単語の意味がわかり、文章の構造がわかり、その文章の意味を正しく理解出来る状態になった上で、音読を繰り返して、その文法や表現をしっかりと身につける事です。
しっかりと身についた状態になると、いちいち日本語に訳さないでもそのような表現は意味がわかるようになります。

そのためには、文法の学習は重要です。
文法を学習した上で、それを土台にした英文読解の構文などの学習に進みます。

文法を学習し、英文読解の学習に入ったが、主語、述語動詞を見つけるのに苦労する、読解で説明されている文法の説明がわからない場合などは、文法の学習が足りない状態です。
文法も英文読解も上を目指すと切りがありませんが、高校受験レベル、大学受験基礎レベルの内容などから、順を追って、文法、英文読解の学習をします。
まずは高校受験レベルの文章を理解出来るように、文法、英文読解の学習をしましょう。
これが出来るようになったら、大学受験基礎レベルとレベルを上げて学習し、自分が読める文章レベルを上げていきます。

基礎レベルの読解が一通り出来れば、単語を並べただけでは意味がわかりにくい文章もある程度読めるようになります。
このレベルの参考書をしっかり何度も音読して、簡単な文章はいちいち訳さないでわかるレベルになるべく近づけましょう。

読解の基礎レベルがある程度出来るようになれば、音読や多読できる文章のレベルをあげられます。
そうなったら音読や多読を続けながら、よりレベルの高い文法や読解の学習へと進み、多読や音読のレベルを上げていきます。

当然、各段階で文法などに不安があればすぐに文法に戻って学習し直し、しっかりと文章が理解出来るようにします。

そもそも文法や読解が出来るとは

文法が出来る定義は難しいですが、文法の問題等で、正しい選択肢がなぜ正しいのか、違う選択肢はなぜ違うかを、問題の解説の用に自分で説明できるレベルになった段階で、その文法を理解したと定義しましょう。

読解は、その文章の主語や述語動詞を見つけられ、その他、形容詞や副詞等を判断した上で、しっかり意味が理解出来る状態になっている状態を、その文型などの読解を理解したと言えるでしょう。

それぞれ、始めは基礎的な内容なら理解出来る状態になります。より難しい物の理解は学習を進めていく段階で理解出来るようになります。
どこまでの学習が必要かは、本人の目標によってことなります。

それぞれの段階で音読や多読を進めていくわけですが、自分が読みたいカテゴリの文章の意味がわかるようになっていれば、その段階で文法や読解の学習は終わらせても良いかもしれません。
すでに、文法や読解などで学習するよりも、音読や多読で、英文を自然に理解出来るようにしていく段階に入ったという事になります。

おそらく、その状態になったと思っていても、文法や読解などの知識は実際にはそこまで高くはないでしょう。それでも音読や多読をそのまま進めていけば、理解度はかなり上がるはずです。
数年後などに振り返ってその当時の文章を読み替えると、当時の理解度は低かったことを実感出来るくらい多読や音読を続けていきましょう。

音読や多読の素材は何が良いか

音読や多読の素材は、しっかりした正しい英文の素材が好ましいです。

特に学習初期段階で音読する場合は、音読用のレベル別の教材、文章の中に複数の単語が含まれているタイプの英単語帳、音声がついているような長文読解用の問題集などが適しています。
必ず正しい発音用の音声が付属している物を選び、正しい発音、イントネーションなで音読できるようにしてください。

音読自体は、英単語を覚える段階、文法学習の段階でも、そこに出てきた文章を普段から読むようにします。
本格的に音読学習を始める場合、そのレベルの文章構造などがしっかり理解出来ているかの確認のために、長文読解用の問題集を使うのが良いでしょう。
各文章の英文の構造の説明がしてあり、英文の正しい意味を日本語で解説している素材を使った方が効果的です。

音読では、かならずネイティブの音声に合わせて、イントネーション等を意識して正しい発音で音読をします。
その文章を初めて音読する場合、初めの数回はしっかり正しい音声を聞いてまねして音読します。
もちろん、その文章の構造、意味がしっかりわかる状態になっている事が重要です。

文章の構造や意味がわかる状態で、正しい音声での発音も出来る状態になったら、自分のペースで音読します。

多読はどうするのか

音読では、同じ文章を何十回も読みます。そのレベルの文章を初めから読んで、いちいち日本語に訳さないでも英語として理解出来る状態にする学習方法です。

多読は英文を沢山読む学習方法で様々な文章を読みます。
ここでも自分が理解出来るレベルの文章を読みます。音読と違って声に出さないで、多数の本を読む学習になります。

音読で、そのレベルの文章をしっかり身につけた状態になったら、次は多読へ進んでいきます。
多読での学習は、日本語で読書して日本語力を身につけるのと同じ学習になります。

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