英語を理解する最終目標は直読直解

英語を聞く、読むどちらの場合も、頭の中に入ってきた英文を理解する必要があります。
母国語ではない英語ですから、通常は英語を自分で自然に理解出来る日本語に翻訳して理解します。

初学者の場合は、1つの文章を聞いたり読んだりする度に頭の中で翻訳作業を行うのが通常です。

一方で

Hello, How are you?

なら、本当の学習初期は「こんにちは、ご機嫌いかがですか」と日本語に訳すでしょうが、ある程度学習をすすめていると、わざわざ訳さないでも Hello, How are you? を英語のまま直接理解出来るようになっていると思います。

他にも、ある程度学習していけば、既に直読直解出来ている単語や言葉はある程度あります。
スポーツはSportsでいちいち運動と訳さないで理解出来ているでしょうし、球技で使うボールはBallで玉と訳さなくても、Ballで理解出来るでしょう。このように既に外来語として日本語で理解出来る英語は沢山あります。
個別の単語だけでなく、高校の先生はhigh school teacherですが、多くの方はわざわざ日本語にせずに「high school teacher」で意味は通じると思います。

単語や言葉だけでなく、会話なら日本語を介さずとも「Hello, How are you?」「Hello, I’m fine.」とある程度学習した方なら教科書的な英文で会話できると思います。

これが直読直解です。
一般的な文章はこれよりも長くなっているだけです。

このような挨拶の場合、自然な会話だと「Hi, how’s it going?」「I’m good, thanks. How about you?」や「Hey, what’s up?」「Pretty good. What about you?」のようなバリエーションがあります。
このあたりの会話は、初めて聞くと戸惑ってしまうかも知れませんが、日常会話のバリエーションを増やす、直接理解出来る単語、フレーズを増やして行くことが、直読直解を出来るようにしていくポイントでもあります。

最終的にはどんな文章でもこのレベルを目指します。

とはいえ、どんな文章でもこのレベルにするにはかなりの学習が必要になります。
特に問題になるのがちょっと長い文章です。日本語と英語は語順が違うため、その語順通りに理解出来ないと頭の中で組立し直す、返り読みをしないと理解出来ない場合があります。
そうならないように学習するのが直読直解による学習です。

実際に返り読みをせずに理解出来るようになるまでには、入ってきた文章を意味の固まり毎に徐々に訳して、内容を理解出来るようにする学習を行います。
もちろん、日本語でもあるように、意味がわかりにくい難解な文章も存在します。そのようなネイティブですら難解な文章を一回で理解する必要は無く、わかりにくい文章は何度も読み返しても良いし、会話の中でよくわからなかったら、どういう意味か聞き返せばいいです。

目指しているのは、普通は誰もが一度で理解出来るようなシンプルな文章は、日本語に訳さないでも直接理解出来るようにするという事です。

直読直解を学習する流れ

例えば次の56ワードの英文は1つの文章です。
カンマが適時入っているので、長文ですが比較的読みやすいと思います。

The old woman, who lived alone in a small house at the edge of the village, always wore a long black coat, even in the summer, and she rarely spoke to anyone, which made the children, who were naturally curious and loved to explore the woods near her house, wonder what secrets she might be hiding.

一般的には
The old woman, who lived alone in a small house at the edge of the village,
あたりで、いったん区切って訳そうとするでしょうか。
「村の端にある小さな家に一人で住んでいる老女は、」のような形で理解しようとするでしょう。
直読直解の場合は

The old woman, その老女は、
who lived alone 住んでいた、一人で
in a small house 小さな家に
at the edge of the village 村の端で

のように、意味の固まり毎に理解していきます。目標は直接読んで直接理解する直読直解なので、文章を日本語として美しい形に訳すことはしません。細切れで訳して意味を理解していきます。

初めはこのような感じになるでしょうか。

The old woman,その老女は、
who lived alone住んでいた、一人で
in a small house小さな家に
at the edge of the village村の端で
always wore a long black coat,いつも着ている、長い黒いコートを
even in the summer,夏でも、
and she rarely spoke to anyone,そして彼女は、めったに話さなかった、誰とも
which made the children,そのことが子供たちを、
who were naturally curious生まれつき好奇心が強く
and loved to explore the woodsそして好きだった、探検、森を
near her house彼女の家近くにある
wonder不思議に思う
what secretsどんな秘密を
she might be hiding彼女が隠しているかもしれない

この場合は、細かく区切った内容でも前半はある程度理解出来たかも知れませんが、後半はよくわからないかも知れません。

後半の which made the children 以下は関係代名詞の which や who が使われています。
which made the children と読んだら「(前半の内容が)子ども達を」のような意味で理解する必要があります。
文章最後の what secrets 以下は間接疑問文で、その前の wonder の目的語です。

このようにある程度、文法、構文を学習しないと意味の固まりを正しく理解するが出来ません。
しっかり理解出来ていないと何とか意味の固まり毎に理解出来たとしても、文章を日本語として意味が通る物として解釈出来なくなります。

そのため、直読直解の学習では、文法的に意味がわかる内容の文章で行います。
今回のように関係代名詞が入ったりして、意味がよくわからなかった場合なら、しっかりと文法を学習し文法上の構造を理解出来るようにします。
文法の理解が難しい場合は、無理をせずに、意味がすんなり理解出来る、よりシンプルな英文で学習する方法もあります。

学習していくと、The old woman のような意味の固まりなら、訳す必要もなく理解出来るようになっているでしょう。in a small house あたりもそうなるでしょう。
そのような意味の固まりが徐々に増えていくと、日本語に介する言葉が減っていき、頭の中での理解は次のようになっていきます。

The old woman,The old woman
who lived alone住んでいた、alone
in a small housein a small house
at the edge of the villageat the edge of the village
always wore a long black coat,always 着ている a long black coat,
even in the summer,in the summer でも
and she rarely spoke to anyone,and she めったに話さなかった to anyone
which made the children,そのことがchildrenを、
who were naturally curious生まれつき好奇心が強く
and loved to explore the woodsand loved to 探検 the woods
near her housenear her house
wonder不思議に思う
what secretsどんな秘密を
she might be hidingshe が隠しているかもしれない

いきなり直読直解できるようになるわけがありません。
このように学習していく中で徐々に日本語に訳す言葉を減らしていくことが、文章を直読直解できるようにしていくポイントになります。

学習していくと、意味の固まりを区切る範囲が長くなっていきます。

The old woman, who lived alone in a small houseThe old woman 住んでいた、alone in a small house
at the edge of the villageat the edge of the village
always wore a long black coat,always 着ている a long black coat,
even in the summer,in the summer でも
and she rarely spoke to anyone,and she めったに話さなかった to anyone
which made the children,そのことがchildrenを、
who were naturally curious生まれつき好奇心が強く
and loved to explore the woods near her houseand loved to 探検 the woods near her house
wonder what secrets she might be hiding不思議に思う、どんな秘密を she が隠しているかもしれない

このように、学習をしていくと直接理解出来るないようが増え、徐々に長めの意味の固まりで理解出来るようになっていきます。
どんな文章でも直読直解できるようになるのが理想ですが、簡単な内容から徐々に出来るようになるように読む練習を続けましょう。

このような意味の固まりをチャンクなどと呼び、意味の固まり毎にスラッシュを入れる方法をスラッシュリーディングなどと言います。
意味の固まり毎にスラッシュを入れるような方法は、長い文章、難解な文章で意味を取るのに使えるため、初期の学習段階はもちろん、英文を読めるようになった後にも使えます。

もちろん、前述したように、英文自体が文法的によくわからない物の場合などは、よりやさしい文章の英文で直読直解の学習をした方が効率的です。

例えば、先ほどの無駄に長い英文ではなく、短く区切られた次のような英文の方が学習しやすいです。

An old woman lived alone in a small house at the edge of the village. She always wore a long, black coat, even in the heat of summer. She was a quiet woman, rarely speaking to anyone.
This made the children curious. They were kids who were always asking questions and loved exploring the woods near her house. They started to wonder what secrets the old woman might be keeping.

このように自分が理解出来るレベルの文章で直読直解の練習をしましょう。

実際にどのように学習するかはこちらで解説します。

今回の英文の日本語訳例

短く区切った文章の日本語例

ある老女が村はずれの小さな家に一人で住んでいました。彼女は夏でもいつも、長い黒いコートを着ていました。彼女は物静かな女性で、めったに誰とも話しませんでした。
このことが子供たちの好奇心を掻き立てました。彼らはいつも質問ばかりしていて、彼女の家の近くの森を探検するのが大好きな子供たちでした。彼らは、老女がどんな秘密を持っているのかと不思議に思い始めました。

今回の元の英文の日本語翻訳例

村の端にある小さな家に一人で住んでいる老女は、夏でもいつも黒い長いコートを着ていて、めったに誰とも話さなかったので、好奇心旺盛で彼女の家の近くの森を探検するのが大好きな子供たちは、彼女がどんな秘密を隠しているのだろうかと不思議に思っていました。

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