ゲーム機は数年置きに機能を向上させた新世代機が登場する。3DSも各種表示能力など携帯型ゲーム機としての基本機能が向上した。ソニーの新携帯型ゲーム機PlayStation Vitaも表示能力や操作方法など機能が向上する。しかし、最も目立つ表示能力が向上し、よりすごい表現が可能になったとしても、新しいゲーム機を買おうと思う方はゲームファン以外に多くはない。
これは、いくら速くなっても、燃費や安全性が高まったとしても、車に乗る方以外には車が売れないのと似ている。
3DSの立体視表示機能はこの表示能力向上の一種と言える。一般には立体表示こそニンテンドー3DSの最大の特徴とみられているかも知れないが、ゲームの楽しみを増大させる特徴は別にある。それが、通信に関係する機能だ。
ニンテンドー3DSの新機能
Wi-Fiを使った通信機能は初代ニンテンドーDSから備えていたが、これを強化しているのが3DSだ。
3DSのWi-Fi関連の機能強化点では、「すれちがい通信機能」や「いつの間に通信」がある。すれちがい通信機能では、特定のソフトでそのモードに設定しておくと、同じ設定をした他の3DS本体が近くにくると自動的にWi-Fiで接続し関連データをやり取りする。いつの間に通信は、インターネットに接続された3DSが自動的に各種データを受信する機能。
夜など充電している間など、3DSを使っていない間に、ビデオや本体更新データなどを自動受信し、自動的にアップデートしたり、外出先で自動受信したビデオの再生が出来るようになっている。
さらに、操作方法の改善では、ジャイロセンサーが付き、スライドパッドが追加され、よりゲーム操作の幅を広げ、DSiからついたカメラ機能も、3D撮影機能や、QRコードの読み込みが出来るようになり、拡張現実(AR)にも対応できるようになっている。
なかなか受け入れられない3DSの新機能
ニンテンドーDSが売れた理由に前世代のゲームボーイアドバンスからの表現力向上だけではなく、2画面でタッチパネル搭載による新しい操作方法のゲームが受け入れられた事がある。Wiiの表示性能は前世代のゲームキューブから多少向上した程度だが、今までのコントローラーとは異なる体験を生み出すモーションセンサーにより一般層へ広く普及した。
このように、新しいゲーム機を売るためには単に表示性能を向上させるだけではなく、ゲームを楽しむための付加機能の追加が欠かせなくなっている。
ニンテンドー3DSの場合は、Wi-Fiを使った通信機能やジャイロセンサーや内蔵カメラがそれだし、Wiiの後継機種となるWii Uはコントローラーにも画面がつくなど、新しい遊び方を提案できるようになっている。
しかし、これらの新機能もそれを生かしたゲームが登場し、誰でもわかりやすくそれによって楽しみが向上する事を一般層へ認知させない限り、売り上げに貢献する事は出来ない。
Wiiの場合、コントローラーの操作をみせるだけで新しい楽しみ方がわかったが、3DSの新機能でややこしい説明無しで誰でもわかる新機能は立体視機能くらいしか無い。その立体視表示については、ゲーム機の主要ユーザーとも言える子供への健康に及ぼす可能性、目が疲れるという意見があるなど、批判的な部分が目立ったりもした。
実際、立体視機能は新機能の一つジャイロセンサーと相性が悪いなど、まだ発展途上と言われても仕方の無い部分もあるが、この辺りどう伝えればいいか任天堂も苦労しているようだ。
そんな新機能も有力なソフトがそれに対応するなどすれば、それだけで状況が一変してしまうのがゲーム業界の面白い部分でもある。