2011年2月に公表されたソニーのPSP2ことNGPは、様々な仮想敵と戦うために様々な機能が備わっている。
まずは、同ジャンルのゲーム機である任天堂のニンテンドー3DSだ。3DSは裸眼3D(立体視)のディスプレイを搭載し、ネットワーク系サービスも強化するなど携帯ゲーム機としては正統な進化をしている。これに対抗するためかNGPは3G通信機能や、より高速なCPUやGPUなどが搭載されるなどして、より迫力のあるゲームが楽しめるようになっている。
また、iPhoneやAndroid端末などの短時間で楽しめるようなカジュアルゲーム端末は強力なライバルだ。
これらにはタッチ画面やGPS、電子コンパスなど様々なインターフェースが備わっている。NGPはまだスマートフォンには採用例がない背面センサーも含め、現在考えられる全てのインターフェースを搭載するようだ。
これは単に片っ端からこの機能を取り入れたのではなく、次に説明するPlayStation Suiteとも密接に関係している。
NGPに限らず、携帯ゲーム機の最大の敵となるのは携帯ゲーム機を欲しがらないユーザーだ。現在、ニンテンドーDSや日本ではモンスターハンターシリーズのヒットでPSPも人気のようだが、この携帯ゲーム機ブームは、iPhoneなどスマートフォンなどにユーザーを奪われ始めている。
これに対応するため、ソニーはPlayStation Suite(プレイステーションスイート)という新しいサービスを開始する。これはNGPだけの機能ではないが、スマートフォンなどでソニーが提供するプラットフォームのゲームが楽しめる仕組みと言っていい。
当初はAndroid端末などで、初代PS1のゲームをダウンロードして楽しめるようになる。もちろん、PS1のゲームを楽しむためにはハードウェアコントローラーが必要になる。ソニーエリクソンが今後販売するXperia playはコントローラー付きなので、これを見越した設計であることは明確だ。
その後、ソニーが認めるようなクオリティの高いPlayStation Suite対応のカジュアルゲームも提供するようになるのだろう。AppleがiPhoneなどで提供しているApp Storeのソニーのゲーム版といった物だ。
PlayStation Suiteをゲームの世界の入り口に位置づけカジュアルゲームユーザーを取り込もうという戦略なのだろう。先進国で暮らす方々にとって、ゲーム機は無くてもいいものだが、スマートフォンなどはほぼ必須の機器であり、数年後にはかなりのユーザーがiPhoneやAndroidなどのスマートフォンを所有するようになる。
自分の持つスマートフォンで、PlayStation Suite上で動作するゲームが動作すれば、PlayStationというゲームプラットフォームを知ってもらうことが出来る。
カジュアルゲームでも、ゲームの世界を知ってもらえれば、さらにさらに作り込まれたより深く楽しめるゲームのあるNGPへとユーザーを引き込もうという戦略なのだろう。
任天堂も同じ問題には直面しているため、また別のアプローチをとるのかもしれない。少なくとも携帯ゲーム機は、その存在意義自体が疑問視されているため何らかの戦略が必要になってくる。