土曜日, 6月 3, 2023
スティーブ・ジョブズ関係の書籍としては、2011年10月に公式評伝であるスティーブ・ジョブズが発売される。 公式なもので取材にも全面的に協力しているということでおもしろそうな内容ではあるが、これ以外にもおもしろい本はいくつかある。 その中でもこの2冊だけは外せないだろう。 スティーブ・ジョブズにはApple Computer設立まで、Appleの急成長とNeXT設立、Apple復帰からiPod、iTunes、iPhone、iPadまでの大きく分けて三つの時代があるが、このなかでNeXT設立までが描かれたのが「スティーブ・ジョブズ――パーソナル・コンピュータを創った男 (原題 Steve Jobs: The Journey Is the Reward)」だ。 そして、Apple復帰、iPod、iTunesの躍進までが描かれたのが「スティーブ・ジョブズ-偶像復活 (原題 iCon Steve Jobs: The Greatest Second Act in the History of Business)」だ。 どちらもMacWorldの編集者だったジェフリー・S・ヤングが執筆しており、公式のものではないが、非常に興味深い内容が書かれており、スティーブ・ジョブズに関して知りたいなら必読書となる。 残念ながらパーソナル・コンピュータを創った男は原書では1987年に発行されたものであり、20年以上たち入手しづらくなっている。アメリカでも状況は同じなので、ぜひ読みたいという方は、中古などでお得な価格で出回っているのを見つけたら確保しておくことをおすすめする。 iConの方は発行して5年ほどなので、まだまだ入手しやすいので一般的にはこちらを先に読むのが先だろうか。
はじめてのCUDAプログラミング 驚異の開発環境〈GPU+CUDA〉を使いこなす I・O BOOKS 青木 尊之、額田 彰著 ISBN-13: 978-4777514779 マルチコアへの最適化もまだ十分ではない状況だが、今後はGPGPUなど、ヘテロジニアスなコンピューティング環境がさらに向上するはずだ。 そのなかで、OpenCLなど様々なテクノロジが注目されているが、利用例が多く、学習しやすいのがNVIDIAのCUDAだ。 CUDAは、OpenCLとは厳密には異なるが、OpenCLと近く、現時点でGPGPUを学習するきっかけとしては優れている。 とりあえずの入門用としてCUDAでGPGPUの全体像をつかみ、OpenCLなどにつなげていくというような流れが良いだろう。 もちろん、ある程度各技術を理解できている方なら、いきなりOpenCL入るのも悪くはない。この本はC言語の基礎がある程度出来ている方が、CUDAを使いGPGPU環境を使ってみる部分が解説されている。 より高度な利用では、NVIDIAなどが提供している情報を参照するのがいいが、そこまでではないような方、GPGPUをどのように使うかについて体系的につかみたい方にもお薦めの書籍となっている。
日本「半導体」敗戦 光文社ペーパーバックス 湯之上 隆著 ISBN-13: 978-4334934699 日本の半導体メーカーでDRAMの開発に携わっていた著者による、日本半導体産業の今がわかる本。 1980年代は日本の半導体メーカーにとってDRAMはドル箱だったが、2000年代には見る影もなくなり、一部を除き、国内半導体産業は事業統合でなんとか事業自体は続いているというのが現状だ。 もちろんDRAMが世の中から廃れたのではなく、パソコンなどで販売数量は飛躍的に増えているし、容量は増えているので、以前よりも高い技術力が必要になっている。 それなのに、高い技術力があるはずの日本の半導体メーカーが、海外企業に負けている現状は何が原因なのか。 CPUなどのロジック半導体ではインテルが一人勝ちしているが、インテルと国内メーカーの違いはなにかが、国内・海外の関係者からの取材から浮き彫りとなっている。 簡単にまとめてしまえば、国内の半導体は、過剰品質・高コストがその原因としているわけだが、それに気づいていない国内半導体メーカー幹部の発言が非常に痛々しい。 専門用語も多く、半導体産業以外には難しい内容もあるが、今後のびる途上国向けビジネスでは何が必要なのか、そこで勝ち抜くには何をしなければならないのか、他の業界でも反面教師として役立つだろう。 半導体産業だけではなく、日本の技術こそ世界最高だと勘違いしている様々な業界関係者が一度は目を通すべき本である。 問題は、ほとんどの関係者が、自分が勘違いしていることに気づいていないということだ。 日本「半導体」敗戦 (光文社ペーパーバックス)