日本のエレクトロニクス系トレードショーでは、最大規模のCEATEC 2010が閉幕してしばらく経つ。
CEATECの楽しみといえば、派手な家電系メーカーの新製品展示と、地味ながら興味深い新製品の展示が多いデバイス系メーカーの展示だ。デバイス系メーカーは世界のエレクトロニクス製品を陰で支えている物が多く、今年の出展は目立って減少しているが、元気なメーカーも多く今後が期待される。
一方、派手な展示が多い家電系など、一般消費者に直結するメーカーの展示は、日本メーカーの影が年々薄くなっているのも事実。
従来、自社独自の技術を使った新製品や開発中デバイスなどを展示していた企業も、中身を見れば韓国など外国製メーカーの技術が含まれていることが多くなっている。
20年ほど前のパソコンはインテルも今のように巨大ではなく、中国生産もほとんど無かった時代で、日本メーカーの製品がふんだんに使われていたが、10年ほど前から日本メーカーの出る幕はないほど業界構造が変わってしまった。
それと同じようなことが、日本の技術を誇っていた各種エレクトロニクス製品でも特に目立つようになってきたのが、今回のCEATEC 2010だ。
それがよくわかるのが、ドコモがCEATEC開幕当日に発表したサムスンのGalaxyシリーズで、これは当然ながらサムスンが開発した製品。UQコミュニケーションズは最大330Mbpsのモバイルブロードバンドをデモしたが、この通信関連を含むデモ環境を用意したのは、これまたサムスンだ。
他にも、LGのパネル採用した液晶テレビなど、上げていけばきりがないほど韓国メーカー抜きにCEATECが盛り上がらないほどになっている。
今後、韓国系メーカーなどが日本の家電市場に本格参入すれば、CEATECなどにも本格的に出展してくるかもしれない。
当然ながら、他国のメーカーが躍進することは悪いことではない。その中で日本のメーカーも、それに負けない技術で世界のトップを守り、競争の中で全体のテクノロジーが向上すればいい。しかし、日本メーカーの世界での地位が低下していることは事実。
日本人としては微妙な状況ではあるが、それを直視した上で今後の方向性を決めていくべきだろう。