日本「半導体」敗戦 光文社ペーパーバックス 湯之上 隆著 ISBN-13: 978-4334934699 |
日本の半導体メーカーでDRAMの開発に携わっていた著者による、日本半導体産業の今がわかる本。
1980年代は日本の半導体メーカーにとってDRAMはドル箱だったが、2000年代には見る影もなくなり、一部を除き、国内半導体産業は事業統合でなんとか事業自体は続いているというのが現状だ。
もちろんDRAMが世の中から廃れたのではなく、パソコンなどで販売数量は飛躍的に増えているし、容量は増えているので、以前よりも高い技術力が必要になっている。
それなのに、高い技術力があるはずの日本の半導体メーカーが、海外企業に負けている現状は何が原因なのか。
CPUなどのロジック半導体ではインテルが一人勝ちしているが、インテルと国内メーカーの違いはなにかが、国内・海外の関係者からの取材から浮き彫りとなっている。
簡単にまとめてしまえば、国内の半導体は、過剰品質・高コストがその原因としているわけだが、それに気づいていない国内半導体メーカー幹部の発言が非常に痛々しい。
専門用語も多く、半導体産業以外には難しい内容もあるが、今後のびる途上国向けビジネスでは何が必要なのか、そこで勝ち抜くには何をしなければならないのか、他の業界でも反面教師として役立つだろう。
半導体産業だけではなく、日本の技術こそ世界最高だと勘違いしている様々な業界関係者が一度は目を通すべき本である。
問題は、ほとんどの関係者が、自分が勘違いしていることに気づいていないということだ。