Z会が出版している速読速聴・英単語シリーズは英単語帳の一種で、長文の中に覚えるべき単語がある長文型単語帳です。
長文型単語帳には、他にも速読英単語、英文で覚える英単語ターゲットR、文で覚える単熟語シリーズなどがあります。
どの単語帳もよく出来ていますが、速読速聴・英単語シリーズの特に良い点は、単純に単語や熟語を覚えるだけではなく、慣用表現、リスニング教材、音読教材としてもよく出来ている点です。他の単語帳でも同様の事は出来ますが、英語学習の最終目標は、文章の読み書きと会話だと思います。
そのためには、リスニングや音読が重要で、単純に英単語を覚えるだけでなく、これらが効率的に一括して学べる教材としておすすめです。
どれから始めるべきか
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4から始めて下さい。
これは、わかりやすく書けば中学校から高校入門レベルですが、単語、英文法などは完璧だとしても、最低でもすらすら声を出して読めるレベル、この本ならPart 2 Section 2以降をシャドーイングが出来ない段階なら、この教材での音読学習から始めるべきです。
ここで言うシャドーイングとは、音声だけを聞いて、影のように復唱する方法で、英語学習の中でも最も高度な学習方法で、同時通訳者の訓練方法の一種です。
単語のスペルのミスはともかく、テキストの内容通りにしっかり出来ているかを確認します。ディクテーションしてみることも有効です。
ディクテーションは聞いた内容を書き取る方法です。
一般的には1回では書き取れないので、途中で止めたり、聞き返したりして書き取りますが、1つの文章で止めてスペルはともかく、しっかり書き取れない場合は、聞き取りが出来ているかも怪しいです。
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4のPart 3がすらすら読める、Part 2でシャドーイングが出来る状態なら、速読速聴・英単語Daily1500 ver.4、速読速聴・英単語 Core1900 ver.5と順次続けていきます。
英語学習はこれに限らず、初めから無理して高度な教材を使う必要はありません。
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4の前に
日本で販売されている一般的な単語帳は、中学レベル、高校入門レベル、高校標準レベル、大学受験上級レベルなどに分類分けされており、受験向けの英単語が選定されています。
速読速聴・英単語シリーズの最新版はCEFRと日本の学校英語を意識した単語、文章の内容になっており、速読速聴・英単語Basic2400 ver.4は中学校レベルの単語帳ですが、CEFRT A1, A2の内容で、英検準2級、高校入門レベルの内容も入っています。
ただし、この本は単語帳が基本なので、文法や文章読解などに関する解説は基本的にありません。
このため、速読速聴・英単語Basic2400 ver.4は英単語学習という意味では少々ハードルが高いです。
中学レベルの文法、高校入門レベルの英単語をある程度覚えた、文法を理解した段階で、英単語をしっかり固める、リスニングや音読教材として使うのがおすすめです。
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4の使い方例
基本的な使い方は18、19ページに書いてあります。
さらに詳しく個人的に効果的だと思う使い方を紹介します。
まずは、Part1 Section1 の音声だけを聞きます。
この内容がどの程度聞き取れるか、理解出来ているかに合わせて今後の学習内容が変わります。
聞き取れない場合は、リスニングや発音に問題があるので、まずは英語の基本的な発音から学習します。
英語自体は何とか聞き取れるが、内容がよくわからない場合はリスニングや、文法、単語力も疑問があります。何とか聞き取れて大まかな内容がわかる場合含めて、該当の英文を読んでわからない単語、知らない表現を学習します。
おおむね聞き取れて、ほぼ意味が理解出来ている場合なら、各文書の初めにある質問に答えます。
質問に答えられるかどうか、自分の聞き取った内容と、理解した意味が正しいかを確認します。質問に英語で回答出来なかった。思ったよりしっかり聞き取れていなかった、意味を取り違えていた場合は、単語や表現を覚えます。
もちろん、1回で覚えられるわけでもないので、しっかり理解しつつ音読をします。
聞き取り、意味の理解も完璧な場合は、意味をどう理解しているかを確認します。
頭の中で高速に日本語に翻訳している場合は、このレベルの速度なら今後も高速翻訳で対応できるかも知れませんが、もっと速くなるとついて行けなくなるでしょう。
意味のカタマリ毎に内容が理解出来ているかを確認してください。
音声を聞いて意味のカタマリ毎に英語で理解出来ている場合で、該当の英文もすらすら読める、シャドーイングも出来るなら、Section 2をやります。
Section 2もできるなら、Section 3。これも出来るならPart 2へと進み、自分のレベルに合わせた段階で学習します。
もしも、飛ばした段階で難しいと思ったら、1つ前の段階に戻りましょう。
高速翻訳して内容を理解しているレベルなら、英語を英語のまま理解出来ていない段階です。
意味のカタマリ毎に、英語を英語のまま理解出来るようになるまで音読します。
音読
単語や表現の日本語訳がすぐに思いつかない段階の場合、音読では、意味のカタマリ毎に、英語、日本語で読みます。
例
Hello. How are you. Time flies!
という文章があった場合。
Hello こんにちは How are you. げんきですか Time flies! 光陰矢のごとし
のように、英語、その英語のカタマリの意味を発音します。
そのうち、HelloはHalloで日本語にしなくても意味がわかるようになるので、日本語を発音する必要は無くなり、わからない単語や表現が使われてる意味のカタマリだけを英語の後に日本語で発音します。
使われている単語、表現を、英語のままで理解出来るレベルになるまで、英単語、表現をしっかりと身につけます。
音読はただ読むのではなく、お手本の音声のイントネーションなどすべてを完全コピーするようにやります。
初めは文章を読み、音声を聞いて、それと同じようにまねして発音します。発音自体が難しいよくわからない場合は、発音基本をしっかり学びます。基本は聞いたそのままマネをします。
まねして発音するというのは、リピーティングやオーバーラッピングなどと言います。
聞いた内容をそのまま発音するのがリピーティングで、オーバーラッピングが、聞いてそのまま発音するようなことです。この時にテキストを見るか見ないかの違いがありますが、見ないで聞いた内容をそのまま同じように即時発音するのがシャドーイングです。
オーバーラッピングは、同じ速度で発音する必要があるので、いったん一時停止しても言いリピーティングよりは難しいです。
初めは、読む事自体が必死な状態になると思います。
ある程度慣れてきたら、読んでいる文章の内容の意味を頭の中で思い浮かべます。
音読の第一段階は、読む事自体になれることです。読む速度は遅くても、発音が下手でもかまいません。まずは読めるようになることが重要です。
読めるようになったら、お手本と同じくらいの速度で読めるように練習していきます。出来るようになったら次はイントネーションなども同じようになるようにマネをします。
この間に、文章自体で使われている単語や表現はわかるようになっていると思います。
まだわからない単語や表現がある場合は、それを意識してしっかり音読を続けます。
英単語、表現を英語のまま理解出来て、お手本音声のイントネーションなど含めて同じように発音できるようになったら、シャドーイングが出来るか確認します。
シャドーイングは高度な英語学習方法なので、速読速聴・英単語Basic2400 ver.4 の Part 3 で出来なくてもかまいませんが、Part 2くらいならシャドーイングできることが理想です。
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4 の Part 3 でのシャドーイングは、この先の学習 Daily1500などでの学習が進んだ段階で、戻って出来るようになっているか確認してみてください。
音読は数十回やらないと身につかない
音読は、1つの文章あたりで、数十回やらないと、英語を英語のまま理解し、イントネーション含めて読めるようにはならないです。
数回で出来る場合は、既にそのレベルの内容は出来るという事なので、次のセクションをやってください。
慌てずに、自分が出来るレベルからしっかりと徐々に固めていきます。
速読速聴・英単語Basic2400はPart 1、Part 2、Part 3で徐々に難しくなっていくので、1冊で本当の初級から、そこそこできる人のレベルまで対応できます。
数十回やるというのは1日で例えば30回読むという事ではないです。
例えば、Part 1 Section 1を通して読む事を1日に5回やることを、6日やって合計30回読むようなことです。
ここで重要なのは必ず音声を聞いてまねして発音するという事です。例えば1日5回の内、最初の1回と、最後の5回目は音声を聞きながらのリピーティングを行います。
2回から4回は自分なりにしっかり読んでみるだけでもかまいません。
Part 1 Section 1はリピーティングした場合で合計約5分かかります。
1日5回やるなら、これだけで1日30分ほどかかります。Section 1と2をやる場合なら、合計約10分かかり、5回やるなら50分程度かかります。
比較的簡単なら、Part 1 Section 1と2を、1日できる限りやって、出来る状態になるまで何日やり、その後 Section 3へ進みます。
難易度自体は余り変わらないので、ある程度基礎が出来ている方が、しっかり出来れば合計で2週間以内に、Part 1は出来るようになるかもしれません。
無理に薦める必要は無いので、Part 1の内容は最低限イントネーション含めてリピーティングできる状態になるまでしっかり練習しましょう。
この段階で、発音の基本はしっかり学習しておいた方がいいです。
また、ページの途中にある基本動詞の内容はしっかり読んで理解出来るようになりましょう。
おおむね英検2級レベルが余裕、IELTSやTOEFLで高スコアがとれるくらいの状態でもなければ、Part 3 あたりで難しくなってくると思います。
難しいとは、単語は知っていて、読む事、意味の理解は問題なくても、お手本の音声と同じような速度やイントネーションでの発音、音声だけでの英語での理解が出来ないという意味です。
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4の音声速度
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4の音声速度はおおむね80wpmから130wpmです。
wpmは1分間に80語から130語話す速度という意味の word per minute の略で、一般的な英語の会話速度は150wpm前後で、英語圏のニュースのアナウンサーもこのくらいの速度です。
早口の場合は200wpm程度になる場合もあります。
音声はともかく、最低でも1分で150ワード、出来れば1分で200ワードの速度での英文を読めないと、会話速度に追いつくのは厳しいということになります。
速読速聴・英単語Basic2400 ver.4はPart1 Section 1は80wpm程度、Part 1 Section 2は100wpm程度、Section 3でようやく120wpm程度になります。
ゆっくり話してくれる人で120から130wpm程度になります。リスニングという意味ではPart 1 Section 3の速度で問題なく出来るレベルかを確認します。
音読もこのセクションで速度、イントネーションなどをしっかり出来るようになることを、まずは目指しましょ。
そのためには Part 1のSection 1、Section 2のゆっくりした速度で、しっかり出来るようになる練習は必須です。
Part 2は125wpm、Part 3では130wpm程度になります。これでも一般的な会話速度より遅いです。
まずは、このレベルのリスニング、音読が出来るようになってから、他の教材に移りましょう。
出来る段階チェックリスト
第1段階
単語・熟語・慣用表現の意味がわかる
文章の構造がわかる 主語、述語、目的語などの文章の構造がわかる
テキストを見て文章の意味がわかる
第2段階
音声を聞いて内容が理解出来る
音声を聞いて、英語のまま意味が理解出来る
テキストを発音やイントネーション、速度などはともかく、スムーズに読める
第3段階
スムーズに読んで文章の内容をイメージできる
意味を理解しながら発音やイントネーションを意識して発音できるようになる
リピーティング イントネーションなど含めてテキストを読みながらお手本音声そっくり発音できる
高度な内容
シャドーイング イントネーションなど含めてテキストを読まずに音だけを聞いてそっくりで例文音声に合わせて発音できる
ディクテーション 1つ分毎に止めて、発音された文章を書き取れる
シャドーイング、ディクテーションは出来なくてもかまいませんが、上から順に最低限出来るようになる必要の物です。
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