ドコモが2012年4月27日に開いた決算説明会後の山田社長への囲み取材(会見後の記者団との会話)で、iPhoneはドコモのdメニューの展開が難しいため、スマートフォンの半分以上はAndroidでdメニューなどを展開していきたいという趣旨の話をした。
ドコモのdメニューはスーマートフォン向けにドコモが展開しているポータルサイトで、基本的にドコモ関係のコンテンツが表示される。
一般的に、日本の携帯電話業者は加入者からの基本料金や通話料、データ通信料が収入の基本だが、それ以外の大きな柱として、コンテンツ系サービスからの収入がある。
ドコモの場合、従来型携帯電話でのiモードで有料のコンテンツサービスがある。各社はここにコンテンツを提供すれば、ドコモがユーザーから料金を徴収してくれるので、ユーザーとしても支払いがドコモに一本化され、業者としてもドコモが確実に料金を徴収してもらえるというメリットがあった。当然、ドコモはコンテンツ業者から手数料を得ていたが、この収入が大きかった。
これが、スマートフォンなど通常のインターネットサービスが簡単に利用できる端末に変わりつつあることから、有料でのコンテンツサービスが成り立たなくなりつつある。
今までiモードで便利に使えていた有料のサービスと同等の物が、一般のインターネットでは無料で提供されていることが大きな原因だ。
これを知らない一般のユーザーはiモードから、引き継いで有料のコンテンツサービスを使うが、課金が無駄なことに気づけば、多くのユーザーは有料のコンテンツサービスを止めるだろう。
ドコモのdメニューは、ドコモのAndroid端末に標準で表示されるようになっており、このメニューからドコモが利益を得られる各種サービスへのリンクになっている。
このdメニューなどが無ければ、ドコモとしては大きな収入の柱だった各種コンテンツサービスの利用者が激減してしまう。
近年、携帯電話会社が土管屋になることが危惧されているが、これは携帯電話会社がコンテンツサービス(土管に流れる物)から利益を得られなくなるインフラ(土管)だけの会社になってしまうことを意味している。
実際、iPhoneはソフトバンクやauの回線を使用し、そのデータ通信回線などを使う物の、ソフトバンクやauの有料コンテンツサービスを使っている人はいないだろう。
利益は通信料金などから出すしか無く、各種ソフトの販売も基本的にアップルが利益を持って行く形になっており、通信事業者が基本的にそれを享受することはない。
ドコモとしては、そのような形では無く、通信料金に加え、各種コンテンツサービスなどからも今後も利益を得るようにしたいため、その導入となるdメニューにはこだわらざるを得ない。