電子書籍という名称自体、将来どうなるのかわかりませんが、この市場が伸びるのは確実でしょう。しかし、電子的に配信された文章を表示するには電子デバイスが必要になるという問題があります。
専用デバイスとしては、AmazonのKindleなど様々な物がありますが、AppleのiPadやWindows PCなど、多目的な電子デバイスでの表示も可能です。
どのデバイスでも、その普及はともかく共通した問題になるのが、電力が必須という点でしょう。
iPadはバッテリ駆動時間が長いとはいえ、10時間ほどしか使えません。その他のノートパソコンでも10時間使えればいい方で、常に充電をどうするかという問題があります。
AmazonのKindleは、書き換えの時しか電力を消費しない電子ペーパーを使用しているため、通常の使用で数週間は使えますが、それでも電池が切れれば使い物にはなりません。
そこで期待されるのが、太陽電池です。
人間の活動には光が欠かせません。その光を使った発電は、住宅用など様々なところで活用されるようになってきました。この太陽電池を電子書籍リーダーで活用できれば、電力は問題にならなくなります。
住宅用がここまで普及する以前から太陽電池で動作していた電子デバイスがあります。それが電卓です。
1980年代後半くらいには電卓が太陽電池で動作していた記憶がありますが、それから20年以上が経過し、太陽電池はもちろん、リチウムイオンなど二次電池も発達しました。この、二次電池と太陽電池を組み合わせたハイブリッドな電子デバイスが登場してもいい頃でしょう。
既に、USB充電器としては存在していますが、電子インクを使用し、もともと電力消費量が少ない電子書籍デバイスには、このような構造が最適かもしれません。
特に、電源をどこでも得られる先進国はともかく、途上国では電源はもちろん、紙などの入手、そもそもの物流も大問題となります。
途上国の教育では教科書は問題になりますが、電子ブックリーダーを使えば、教科書は電波でいくらでも配信できます。教科書を配信するために紙や印刷、物流すら不要になります。電源は太陽電池です。
専用デバイスを大量に配れるほど電子書籍リーダーは安くなってはいませんので、教科書用途に使うにはそれなりに費用がかかりますが、途上国の教育問題に専用電子書籍リーダーが注目されるのは確実でしょう。
もちろん、先進国でも光の下に置いておけば勝手にフル充電される電子ブックリーダーの利便性は言うまでもありません。