スマートフォンが増える事で、携帯電話回線でのデータ通信が混雑する事が実際に発生していますし、今後さらに深刻になる事が予想されています。
その最も低コストで簡単な対策がWi-Fiにオフロードする事です。
データ通信は要するにインターネットを利用しているので、スマートフォンユーザーはわざわざ高コストの携帯電話回線を使うよりも、Wi-Fiを使った方が低コストになります。
例えば、スマートフォンで一般的に使われているHSDPAは14Mbpsまでしか対応していませんが、IEEE802.11gという無線LANでは54MbpsというHSDPAの数倍の通信速度に対応しています。
この無線LANの設置は携帯電話の基地局を設置するのに比べ非常に低コストになるので、各事業者は携帯電話回線で使われているデータ通信を、Wi-Fiに逃すオフロードが今後活発になります。
図解 スマートフォンが増えて速度規制されるわけでいくつかの通信がWi-Fiにオフロードしたときの状況を見てみましょう。
この図では10台接続されているうち、3台のスマートフォンをWi-Fiにオフロードしただけで、携帯電話のデータ通信回線にかなりの余裕が出ている事がわかります。
オフロードしたスマートフォンでは3G回線を使ったデータ通信よりも高速に接続できるようになるので満足度も向上するでしょう。
スマートフォンは従来の携帯電話に比べデータ通信の量が数倍になると言われています。
スマートフォンや携帯電話は、基地局に接続する事でデータのやり取りをしています。基地局によっても異なりますが、1つの基地局は都市部では1km前後の範囲をカバーしています。
一般的に1kmくらいの範囲には少なくとも数百人いて、その携帯電話会社と契約している方もかなりの数になるでしょう。メールやインターネットを同時に使用している方も数十人になる事が予想されます。
下の図ではHSDPAの7.2Mbpsで接続できる基地局にスマートフォン3台、従来型の携帯電話7台が接続していると仮定した図です。
わかりやすくするために、スマートフォンでは1Mbpsで接続し、従来型の携帯電話ではその半分の0.5Mbpsで接続しているとしました。
この場合、スマートフォン1Mbps x 3で3Mbps、従来型携帯電話が0.5Mbps x 7で 3.5Mbpsとなり合計で6.5Mbpsで接続しています。
この場合、基地局は7.2Mbpsの能力があるので0.7Mbps余っている事になります。
このように基地局の能力を超えない範囲でユーザーが使用している場合、利用者も不満に思う事は少ないでしょう。
しかし、単純にスマートフォンユーザーが2倍になった場合を考えてみます。
この場合、スマートフォン1Mbps x 6で6Mbps、従来型携帯電話が0.5Mbps x 4で 2Mbpsとなり合計で8Mbpsで接続しています。
この場合、基地局は7.2Mbpsの能力があるので0.8Mbps足りないという事になります。
足りない場合、他の通信が終わるのを待つ必要があったり、それでも足りないほどの利用者がいるといつになってもデータ通信が終わらないという事になりかねません。
スマートフォンが増える事で、通信速度など様々な規制が実施されると言われています。
スマートフォンは従来の一般的な携帯電話(フィーチャーフォン:高機能機能電話)と比べてデータ通信量が増えるため、ユーザーが増えれば増えるほど(スマートフォンが売れるほど)その規制が現実となってきます。
そもそも、データ通信など携帯電話で使う電波はどうなっているのでしょうか。
携帯電話は、近くにある基地局と電波でやり取りする事で通話やデータ通信が出来るようになっています。
データ通信というのはメールやインターネットを利用した際のデータのやり取りの事で、スマートフォンに限らず、ほとんどの携帯電話で使われています。
基地局はユーザーが多い都市部にはたくさんありますが、山間部など利用者が少ないところは少なくなります。通信速度は、通信規格によって異なります。
通信規格は現在一般的に使われているのが3Gという方式で3Gの中にも派生規格がいくつかあり、HSDPAという方式が比較的多くのスマートフォンなどで使われています。
このHSDPAでは最大14.4Mbpsに対応していますが、スマートフォンは7.2Mbpsまでに対応している製品が比較的多いです。
無線で接続しているので、この7.2Mbpsは他に接続しているスマートフォンや携帯電話と共有しています。つまり10台で接続していれば1台あたり0.72Mbpsしかありません。
これが20台になると、さらに半分になります。
図解 スマートフォンが増えて速度規制されるわけ
このようにユーザーが増えることで速度が低下する事を防ぐために、新しい規格を導入したり、基地局を増やしたりしています。
新しい規格の導入は、基地局への投資が必要になりますし、ユーザーが機器を買い替えるのを待つ必要もあり対応には時間がかかります。
基地局自体を増やす事も簡単にできる事ではありませんし、時間もお金もかかります。
そのため、基地局に接続してデータ通信する事自体を回避するという方法がとられています。その代表が繁華街でWi-Fi(無線LAN)のホットスポットを使ってもらったり、自宅などでも自宅のインターネット回線でWi-Fiの利用を促進する事で、特に通信料が多いひとほど、このWi-Fiを使用する事で本人のデータ通信が早くなりますし、他の方の速度低下も防げるようになります。
Wi-Fiによるオフロードでスマートフォンも快適利用