GoogleがストレージサービスのGoogle Driveを2012年4月24日に発表した。旧来の有料追加ストレージはGmailやGoogle Document、Picasaに使えたが、ファイルを自動同期するGoogle Driveという機能も追加になった。
このGoogle DriveはDropboxやSugarSyncなどの他社のサービスに対抗する物だが、従来から追加ストレージとして購入していた方にとっては実質値上げと言ってもいい状況で、アップグレードが悩ましい。
従来、Googleで200GBを使用していた方は、年額$50で使用できた、しかし、新しい容量プランでは200GBは月額$9.99なので年額にすると$119.88となり、2倍以上となる。
100GBで比較した場合、SugarSyncは月額$14.99、Dropboxが月額$19.99、Google Driveは$4.99なので、既存サービスに比べればお得感があるのは確かだ。
しかし、Googleに料金を追加し比較的大きな容量を使用していた方にとって、今回の料金プランはアップグレードするかどうか悩むところだ。
アップグレードしてしまうと、既存の料金では使用できなくなるからだが、サービスも旧サービスを使い続けるしか無い。このあたり、どう判断するか難しい。
古い容量プランと新しい容量プラン
各種ソフトとの連携機能が強化されるなど、DropboxやSugarSyncなどに代表されるオンライン・ストレージ・サービス選びも容量や料金以外の点から選ぶ必要があり、その選択が難しくなっている。
しかし、基本は容量と料金であり、特にクラウド上に大量のデータを保存するならコストに直接響いてくる部分になるだけに重要である。
最低料金・容量
年間100GBあたり料金
最大容量
MobileMe
9800円($99)/年 20GB
40GB
Google Docs
約$25
1TB $256/年最大16TB
Dropbox
無料 2GB
$239.88
100GB $19.99/月
SugarSync
$4.99/月 30GB
$149.99
250GB $24.99/月
ZumoDrive
無料 1GB
$239.88
500GB $78.99/月
こう比較してみると、どのファイルを使用するかにもよって変わってくるが、文章ファイルなどのファイル形式を使うのならGoogle Docsを使うのが最も低コストだ。
ファイル形式を問わず利用する場合、最大容量がサービスによって異なるし、中間あたりの容量にする場合もコストが異なってくる。
自分が利用するファイル形式や容量に合わせて、利用するサービスを選択するべきだろう。
クラウド・コンピューティングが普及する事で、ほとんどの事はネット上のどこかにあるサーバーにやらせればよくなり、クライアントは単なる表示デバイスになるというような意見があります。
遠い将来、おそらく10年や20年後には全世界でそうなっているのかもしれません。
しかし、ここ数年でそれに近くなるのはネット環境の特に充実した東京など、一部に限られるでしょう。東京ですら、例えば2013年にそうなっているかは怪しいところがありますが・・・
クラウド・コンピューティングにより、クライアントではデータを保存する能力や演算能力自体もほとんど不要になることが予想されていますが、これは高速なインターネット回線回線に確実に接続できる前提でのことです。
現在でも、日本の東京など大都市圏ではネット接続環境は充実していますが、数年後には、光ファイバー、WiMAXやLTEなど、さらにサービスを拡充するでしょう。
それでも問題として残るのが、通信帯域や電波の問題です。
今ではほとんどの場所で携帯電話の電波は届くようになりましたが、ここまでくるのに10年以上の月日がかかりました。
おそらく、WiMAXやLTEは従来の経験を生かし、急速に電波環境を改善していくでしょうが、数年の歳月がかかるでしょう。
それをクリアしたとしても、帯域の問題は残ります。
単純に静的なWebサイトやメール、インスタントメッセンジャーなどのテキストやちょっとした画像が主体のデータを使うだけならいいのですが、本格的にクラウド・コンピューティングを使う場合のデータ量は莫大です。
例えば、動画編集までクラウド環境で行おうと思うと、フルHDの動画データは光回線でも送るのに難儀するレベルで、これがクラウド環境で快適に使えるようになるには、相当の技術革新も必要となるでしょう。
また、これらのサービスや関連機器は全世界で使うことで、コストダウンにつながりますが、通信環境が充実している国は、日本の都市圏など一部地域に限られます。
知らない方には、環境が良さそうにも見える北米は特に通信環境が悪いことで有名です。ネットサービスは北米が主体的な地位にあることも多いのですが、こればっかりは通信環境が充実している場所で技術が伸びる可能性も残しています。
なによりも、クラウド・コンピューティングを本格的に活用するには、世界的な通信環境の改善は必須で、それには相当の時間が必要となります。
少なくともここ数年は、クライアント・コンピューターでも、ある程度の演算能力と、データ保存能力は必要とするでしょう。
その後、10年や20年後がどうなっていくかは、今後の通信環境の改善や技術革新をみて判断していくしかありません。
Googleは電子メール、カレンダー、アドレス帳などクラウドベースのサービスを多数提供し、そのほとんどが無料なので活用している方も多いと思います。
これらのサービスはPCの前にいれば便利ですが、手元にPCが無い環境になると途方に暮れてしまいます。
たとえば、GoogleカレンダーはiPhoneとPCを接続した際にデータを同期することが出来ます。しかし、これはPCと同期したときのみ可能です。iPhoneに入れたカレンダーを、PC側に同期したり、他人と共有しているカレンダーの情報が更新されてもPCに接続したり、直接Webでカレンダーを見ない限り情報は更新されません。
これを解決する方法は当然ながらあります。
この方法はGoogle自身が提供しているサービスで解決可能です。日本ではあまり知られていませんが、この方法自体Googleが英語で解説していることもあるのでしょう。
英語で情報を読める方はGoogle Sync servicesのサイトをご覧ください。
URLは http://www.google.com/sync/ です。
ここにはiPhone、Android端末、Windows Mobile、BlackBerryなどのスマートフォンに加えWindowsパソコンやMacでの同期方法も解説されています。
一応日本語でiPhoneで同期する際の流れを解説すると、
iPhoneの設定画面で、メールやカレンダーの設定を選ぶ、アカウントの追加を選ぶ、Microsoft Exchangeを選ぶ。Exhangeを選ぶのはGoogle SyncがExhangeのプロトコルを使用しているため。
ここで、Serverはm.google.com、UsernameやパスワードはGoogleアカウントの物、Domainは空欄、Descriptionは自分で区別つくものを。
さらに同期したいサービスを選びます。ここではカレンダー
これで、このアカウントのカレンダーがiPhoneと同期できるようになります。
複数のカレンダーを使用している場合は、さらに設定が必要です。
iPhoneで m.google.com/sync にアクセスする
Googleアカウントを入力すると、未対応の端末と表示される場合は、下の方にある言語を変更を押して、英語などに変更する。
英語画面になるとカレンダーが選べるようになるので、ここで設定する。
さらに、同期をプッシュでやるのか、定期的に行うかは、先ほどのアカウント追加画面で、Fetch New Dataを選ぶと設定できるようになります。
クラウドコンピューティングでは、サーバー側にデータなどを保管し、クライアントのストレージ容量や、そもそもクライアントを選ばないというような特徴があります。
これにより、ネットに接続できる端末があれば、どんな場所からでも環境を選ばずデータにアクセスできるようになります。これがクラウドコンピューティングを利用する利点の一つです。
しかし、ネットに接続できなければ利用できませんし、サーバー側などのセキュリティ問題、データのバックアップはどうやっているのかなどの不安があります。
そんな中、2009年10月に過去最悪とも言われるデータ消失事故が発生しました。
北米で若者などに愛用されているスマートフォン的なSidekickという端末があります。これはデータをサーバー側に保存するのが基本の端末で、アドレスややりとりしたメッセージなどサーバー側に保管されています。
しかし、このデータがサーバー傷害により全て失われてしまったそうです。ユーザーは80万人いるそうです。
そもそも、バックアップはどうしていたのかなどの不安が残りますが、データの復旧も見込みがないようです。
このSidekickはT-Mobileという大手携帯電話キャリアがサービスしている物で、SidekickそのものはDangar社によるものです。このDangar社はマイクロソフトが2008年に買収した会社で、マイクロソフトの子会社となっています。
ソフトウェア最大手のマイクロソフトの参加企業が提供しているサービスで、このような不祥事が発生するのですから、それより規模の小さな会社ではどんな不都合が出ても不思議ではありません。
特に困るのが、今回のようなデータ消失です。
サーバー側でバックアップも完璧だろうと思い、何も対策をせずに使用し、今回のような状態になってしまったら全てのデータが失われてしまいます。
何らかの手段でローカルに保存しておくと安心できるかもしれませんが、サービスによってはそれが難しい物もあります。
ユーザーとしては、今回のような不祥事がいつ発生しても大丈夫なように何らかの対策をする必要があるでしょう。
個人的には、メールデータはGmailに保存していますが、そのバックアップ用にHotmailを使用しています。
しかし、単にHotmailに転送しているだけで何も使っていなかったアカウントがリセットされてしまい、1年ほど転送し続けたデータが全て消えてしまいました。
Gmail自体もバックアップなので実害は特にありませんが、しばらく使わないとアカウントがリセットされるHotmailのようなサービスもあります。
利用者側もそのサービスがどのようなポリシーで運用されているのかも含めて、良いサービスを活用したい物です。