シャープが2010年9月に鳴り物入りで発表したメディアタブレットのガラパゴスの販売が2011年9月で終了する。
ガラパゴスの新機種自体はイーモバイルから2011年8月に発売され、電子書籍の販売サービスTSUTAYA GALAPAGOS自体は継続するが、ハードウェアの販売終了でシャープの戦略がどう変わっていくか注目したいところだ。
ここで重要なのが、電子書籍のサービスが本格的になった2010年以降、大きなプラットフォームの戦略変更はこれが初めてとなる点で、このサービスを信じてユーザーが購入した電子書籍などは今後どうなっていくのかという点。
電子書籍に限らず、インターネット上で取引される音楽、映画、ゲームなどの電子コンテンツは物理的な商品が存在せず、電子データをやり取りする事でユーザーが利用できる。
一部の音楽をのぞき、基本的にデジタルコンテンツにはDRMというデジタル著作権管理(Digital Rights Management)の仕組みで、違法コピーなどを防止できるようになっている。
紙の本などの場合、現在の中性紙で印刷・製本された物なら、保存状態さえよければ数百年はそのまま読める。しかし、DRMで管理されたデジタルコンテンツは、そのDRMで管理するソフト、ハードウェアが無ければ利用する事は出来ない。
今回の例で言えば、シャープが提供しているTSUTAYA GALAPAGOSのDRMに対応できるハードウェアとソフトウェアが無ければ、購入した電子書籍などは読む事が出来なくなる。
今のところ、TSUTAYA GALAPAGOSはAndroid端末にソフトウェアが提供されており、このソフトウェアが動作するAndroid端末さえあれば、自分のIDを新しい端末で認証させる事で今まで購入した物を読む事が可能だ。Androidもいつまで現役の端末なのかわからないし、Androidた現役だったとしてもOSのバージョンアップなどでTSUTAYA GALAPAGOSのソフトウェアが永遠に追従するのかわからない。
また、このような電子書籍などのサービスはユーザーが多いところにコンテンツが集まるが、ハードウェア販売が不振だった事から販売終了が決まったと予想され、今後のサービス拡充も怪しいと言わざるを得ない。
つまり、今後、様々な電子書籍が読めるようになる保証は無いという事だ。
最もよいのが、このようにサービスは終了しても、競合他社へ移行できることだが、今のところTSUTAYA GALAPAGOSは現役サービスなので、それは当分無いだろう。
そもそも、日本で展開されている電子書籍サービスはどれも同じような状況で、どのサービスがいつ終わってもおかしくはない。
この手のサービスで購入した物を永遠に読みたい場合、当分続きそうなプラットフォームが登場するまで待つのが無難だ。それよりも現実的なのが、紙など物理的商品を購入することだが。