インテルが2011年1月31日に、インテル6シリーズチップセットのリコールを発表した。
その後、2月7日に情報をアップデートし、2月中旬より対策品が出荷されることが発表されたが、PCメーカーにとってはPCを構成する主要部品に不都合が生じた事で非常に大きな問題となった。
今回の問題は、6シリーズチップセットにある3Gbps SATAポートに関する部分の設計ミスによる物。技術的な解説などはAnandtechのIntel Discovers Bug in 6-Series Chipset: Our Analysisなどを参照いただきたい。
このSATAポートとは、HDDやSSD、光学ドライブなどを接続するポートのことで、パソコンでは非常に重要で欠かせないインターフェース部分となる。
この問題になった3Gbps SATA以外に6Gbps SATAポートもあり、後者だけを使うならチップセット自体は問題なく使用できる。
このチップセットとは、CPUと直接接続されるPCを構成する重要な部品だ。PCで使われる主要な回路が、一つのチップとしてまとまった物だという解説だとわかりやすいだろう。
この6シリーズチップセットとは、インテルが2011年に出荷した第二世代インテルCoreプロセッサーファミリーに使われる唯一のチップセットだ。
第二世代インテルCoreプロセッサーファミリーとは、コード名Sandy Bridgeという新しいアーキテクチャ(設計)によるCPUで、2011年秋ころまでの主要な製品だ。
この新しいCPUを使うには6シリーズチップセットは欠かせない物で、どちらかが欠けてもPCとして使用することが出来ない。
こちらが、その構成図で、CPUに接続できるメモリー以外のHDDやSSDなど各種デバイスが直接接続されるのがチップセットという事がわかるかと思う。
これが、チップセット内の問題のある部分をわかりやすく模式化した物だ。
SATAは2種類あり、6Gbps SATAは問題なく、3Gbps SATA部分だけに問題が発生している。
ノートパソコンでは通常、HDDかSSDと光学ドライブの2つのポートしか使用しない。6Gbps SATAポートを2つしか使わない構成の製品ならチップセットに問題が発生していてもそのまま継続して使用できる。
このため、マウスコンピューターなどは、それを納得した消費者には問題のあるチップセットのまま販売を再開している。
この問題による各社の影響
一般には、このチップセット搭載のマザーボードは1月上旬から販売が始まり、大手メーカーの対応パソコンは1月下旬から出荷が始まったが、問題のないチップセットが出荷されるころまで出荷が止まる。既に出荷された製品の交換などの対応は、3月頃から順次始まる。
本来、1月から販売が始まり、2月頃からこの最新CPU採用製品の販売が本格化。日本では4月の新年度シーズンにあわせ、各社が採用製品の営業活動が活発化するはずだった。しかし、この問題によりこれらの出足がくじかれ、既に発表された製品の出荷も遅れるなどしている。
最新の高性能製品は通常、ハイエンドモデルにしか採用されないが、今回のチップセットも同じくハイエンドモデルを中心に採用されていた。各社、この問題となった製品を採用した割合は異なる物の、多いところはかなりの割合の製品が1ヶ月ほど販売できないという状態になった。