シャープはクラウドメディア事業を2010年12月に開始する予定だ。
このクラウドメディア事業とは、シャープがAppleのiTunes Storeの用にコンテンツを販売するプラットフォームを構築し、対応端末なども提供するという物。
この第一弾となるのが電子ブックストアだ。電子ブックに続き、映像など様々なコンテンツに対応していく進化の象徴としてGALAPAGOSという名称が付けられた。
これに対応する液晶を搭載する端末が2010年10月に開催されるCEATEC 2010で一般向けに公開され、実際にどのように使えるのか確認できる。
しかし、これに先立つ9月27日のプレス向け発表会で公開されたコンテンツは取り立てて目新しい物は無かった。
このGALAPAGOS向けコンテンツは独自のXMDFというフォーマットで作成する必要があるが、このオーサリング環境はシャープが提供している。
業界標準のePubなどは様々なオーサリング環境が用意されている物の、フォーマットも独自の物では新しいコンテンツを短期間に作成するのは困難だろう。
実際、このストアに参入を予定しているコンテンツのデモを確認できるが、文字サイズの拡大は、ズームイン・ズームアウトのアニメーションがあるわけでもなく、唯一それっぽいのはページめくりのエフェクトのみ。
一部の雑誌コンテンツなどは、PDFでページめくりながら読むのと同等の環境しか用意されていない。
12月に参入する際には雑誌・新聞・書籍で3万冊を予定していると言うが、これも著作権が切れた青空文庫などが含まれているのかいないのか、新聞はどのように数えているのかなどこの数字も疑問点がたくさんある。
もちろん、3万冊というのは55万冊を越えるAmazonのKindleの足下にも及ばない。今後増えるのだろうが、対応端末が限られる中どれだけ増やせるのか疑問である。
発売数ヶ月でかなり充実したiPad用コンテンツと比べると、現在のGALAPAGOSで読めるコンテンツは弱いと言わざるを得ない。
CEATEC 2010ではその辺を踏まえた上で、液晶で読む文芸書の読みやすさ、操作性などを確認していただきたい。