そこそこで満足し、さらなる革新が期待できないメーカーの運命は?

ポメラDM20

ポメラDM20

文房具は、人間が存在する限り必要とされる製品でしょう。
今後、パソコンなどの活用がさらに広がると、ペンや手帳などの需要が減っていくことも予想されますが、世界的に見ると、文房具自体が普及していない地域も多く、全体的には需要は増えるのではないかとも思います。

その文房具メーカーのキングジムが2008年に製品化したのが、デジタルメモのポメラです。
テキストファイルの入力という機能に絞りましたが、1年間で9万台の製品を販売したとのことです。
実売価格2万円強の製品で、機能が絞られているとはいえ9万台の販売数というのはかなりのものではないでしょうか。

ポメラの特徴は、フルサイズに近いキーボード、単四電池2本で20時間ほどのバッテリ駆動時間で、テキスト入力機能だけというシンプルさにあります。
パソコンで似たようなことをする場合、カラー液晶ですし、テキスト入力以外にも様々な機能がありますが、重量やサイズはもちろん、バッテリ駆動時間の問題があります。
単四電池で20時間も使えれば、飛行機などでの長時間の移動等でも、バッテリ残量などを気にする必要なく、文字入力に集中できます。

2009年12月に発売する上位モデルは、その文字入力関連の機能を強化した物で、基本的なデザインなどはほとんど変わっていません。
キーボードは好みの問題もありますが、テキスト入力関連機能以外で、ユーザーが最も求めているのは、もっと薄く、軽くならないかという点だと思われます。

ポメラを販売しているのは、文房具メーカーのキングジムです。
文房具メーカーに限らず、日本のメーカーは製品自体の美しさよりも、機能性を重視するところがあります。
このポメラもその例外ではなく、液晶パネル自体は非常に薄いのに、絶対にたわまないし、落としてもびくともしないような分厚い構造。
相当強く入力しなければたわまないのに、キーボードを抑えるための治具も本体に組み込まれている。本当に必要かどうか不明な、バッテリ蓋用のロックボタンなどは従来モデルと同じ構造です。
さらに、ヘビーデューティーな仕様なのに専用ケースや、メモ機能を持った製品なのに、なぜかポストイットなどと一緒に入れるケースも自社で提供しています

ポメラのケースなどアクセサリー

ポメラのケースなどアクセサリー

今回の製品は、黒、白などいくつかの天板カラーで展開し、着せ替え出来るような構造になっています。
キングジムは天板カラーがユーザーが望んでいると認識しているようですが、ユーザーが本当に必要としているのは、物としての価値が高く感じられる美しいデザインなのではないでしょうか?
今のような野暮ったいデザインでは、前モデル同様にそこそこ売れたとしても、それ以上に拡大することはないでしょう。

キングジムは、旧来の文具メーカーの延長で、前モデルも年間で9万台とそこそこ売れてしまったが故に、そこで満足してしまっているのではないでしょうか。
従来品とほとんど変わらない中途半端なデザインの製品で、従来同様そこそこ売れればいいやと考えているのかもしれません。

文房具メーカーとして、現在体制の延長で行くなら代わり映えのしない製品でもいいかもしれません。しかし、今後の文房具市場で電子機器分野を強化したいなら、さらなる革新でユーザーの満足度を高めることが必要なのではないでしょうか。

ポメラの新製品を見ていると、キングジムという会社は、現在の延長で甘んじる会社にしか見えません。

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