理化学研究所が予定しているスーパーコンピューター、「汎用京速計算機」に採用されるCPUが、富士通のSPARC64 VIIIfx。
これは45nmで製造され、8コア、128GFlopsという性能をもった高速なCPUとなっている。
京速計算機は国産を目指しているが、SPARC64 VIIIfxは富士通が製造する日本製のCPUとなりそうだが、そもそもSPARCは日本が独自に開発した物ではない。
SPARC自体はアメリカのサン・マイクロシステムズが1985年に開発した物で、その後富士通などがライセンス提供をうけて製造。さらに、1999年には富士通とサン・マイクロシステムによる共同開発が発表された。
もともとあったアメリカ製のSPARCをベースに、アメリカのHAL Computer Systemsと富士通がSAPRC64を開発。さらにHPC用に拡張した物が、2009年に登場したSPARC 64 VIIIfxということになる。
現在、主に使われているCPUをアーキテクチャ毎に並べると
ほとんど全てのパソコンやサーバーで使われているインテルのx86系
携帯電話など組み込み機器に採用されているARMのARM系
ゲーム機などに採用され、東芝、IBMやソニーなどが開発したCellにも使われる、IBMのPOWER系
それに加えて上記SPARC系
さらに、組み込み系ではルネサステクノロジ(日立)のSuperH系、MIPSなどもある。
というような状況になっている。
スーパーコンピューターなどのHPCに多数採用されていたり、ほとんど全てのパソコンに採用されているのはx86系。
HPCなどにはPOWER系も使われているし、ゲーム機や組み込み用機器にはARM系も多い。
おそらく世界中のCPUシェアのかなりの部分は、この3つのアーキテクチャに集約されていると思ってもいいくらいだ。
そのなかで、SPARC系の位置づけはどうなのだろうか?
CPUは今後ますます開発コストがかかるようになり、パソコン用でも開発費だけで数百億円以上が必要になる。そんななかで、「売れない」CPUを開発しても元を取るのは難しい。
それを採用する方としても、シェアの少ないアーキテクチャ用にOSやソフトを改良したり、それに不可欠な各種ハードウェアを開発する費用も馬鹿には出来ない。
スーパーコンピューターなどの特殊な分野でも、売れるx86系を拡張したようなCPUが主流になる中、それに特化したCPUの今後はどうなってしまうのだろうか。
当然ながら、CPUの種類が将来にわたって、この数種類に固定されたわけではない。しかし、CPUとそれを取り巻く周辺の環境を考えると、シェアの低いCPUが生き残っていくのは簡単ではない。
SPARC64 VIIIfx Extensions PDF
SPARC64 VIIIfx Extensions 日本語版
SPARC64 VIIIfx Fujitsu’s New Generation Octo Core Processor for PETA Scale computing