NTTドコモは2010年12月にLTEという方式を使用した通信サービスXi(クロッシー)を開始する。
現在FOMAはIMT-2000(W-CDMA)とい方式を使用しているが、より高度な通信方式を使う事で通信速度が高速化されるなどのメリットがある。
ドコモの計画によれば、最大でFOMAの10倍となる75Mbpsでデータ受信できるようになるので非常に高速だ。
しかし、この高速のサービスも、現在のFOMAのような様々な制約があっては使い物にならない場合がある。
例えば、1ヶ月に5GBまでという通信量の制限である。サービス開始当初はキャンペーンなどで無制限になる物の、長期契約のない料金体系では月7,980円という料金で5GBまで使える。その後2GB毎に2,625円の追加料金がかかる。
しかし、ドコモによれば、FOMA利用者の99.6%が5GB以下なので、この5GBという制限は問題ないらしい。
FOMA利用者の99.6%が1ヶ月に5GB以下の通信料
「Xi」(クロッシィ)サービスを提供開始 プレスリリースより
ここで注目なのが、現行FOMA利用者の99.6%のうち0.4%の部分である。
2010年1月現在のドコモFOMA契約数が約5500万件、そのなかで、iモードなどの契約数は約4900万件となっている。電子通信事業者協会のデータより
本来はこの約4900万件で計算するのが正しいと思われるが、ドコモがFOMA利用者と書いているので5500万件で計算する必要がある。
5500万件の0.4%は22万件なので、この22万契約が5GB以上利用していることになる。この22万契約をみてみよう。
従来型の携帯電話で、動画サービスなどデータ量の多いサービスを利用することも可能だが、使い勝手その他の点でメールやシンプルなWebサイトが中心となる。
ドコモユーザーのほとんどはこのようなデータ量の少ないサービスを利用しているユーザーと想定される。
一方、フルブラウザが当然で、写真や動画など一つとっても従来型携帯電話よりデータ量が増えてしまうスマートフォンの利用者は、今までヒット商品も少なかったのでドコモユーザーには少ない。
Galaxy発表会でのドコモ山田社長の発言によれば、ドコモ最大のスマートフォン売上げとなったXperiaの販売数は、50万台ほどということだ。今まで販売したスマートフォンを合計しても、100万台未満ということが想定される。
これ以外にもPC内蔵型や、USB接続などでデータ通信を利用する方もいるので、合計で100万契約がデータ量の多くなりやすいユーザーと推定すると、そのうちの20%が5GBを超えているという計算となる。
もちろん、従来型携帯電話でデータ通信を多用している方もいるだろうが、よりデータ通信料の多いサービスを利用する方にとって、99.6%という数字はほとんど使わない人を含めた数字なので何の意味もない。
また、ドコモはFOMAにおいてプロトコル規制と呼ばれるドコモが望まない通信サービスを規制している。それに加え、直近3日間のパケットが300万(384MB)を超えた場合、使いすぎということで規制対象になり通信速度が遅くなるなどの規制をしていることも考慮した方が良いだろう。
LTEのXiではプロトコル規制はしないそうだが、直近3日間のパケット300万という規制は行うとのこと。
300万パケットは384MBなので、1日あたり130MB程度で規制対象になる。最近はネット上でHD動画なども増えているし、画像の解像度も上がっている。
数時間ネットを普通にフル活用しただけでこの規制対象になることは確実だし、5GBというのもそのような使用方法を1日数時間、月に10日間程度使えば確実に達するだろう。
PCやスマートフォンなどでLTEのサービスをフル活用しようと考えている方は、他社のサービスと比較検討し自分にとって使いやすいサービスを選ぶべきだ。