ブリヂストンが電子ペーパー事業から撤退したわけ

2011年のFPD Internationalより

ブリジストンが2004年に電子ペーパー事業に参入を発表し、QR-LPD(Quick Response Liquid Powder Display)技術のAeroBeeブランドとして事業展開していたが2012年5月15日に撤退した。

2002年3月に電子粉流の開発に成功、2004年10月に電子値札用の電子ペーパー事業に参入を発表。
2006年には薄型のカラー電子ペーパーを、2007年にA3サイズのカラー電子ペーパーを開発、2009年に電子棚札用(電子プライスタグ)電子ペーパー事業の本格展開を開始していた。

2010年にはACアダプタなどの大手デルタ電子との共同開発も始まり、その後も、高速レスポンスなどの改良が続いていたが、約10年で事業が終了することとなった。

A3サイズのカラー電子ペーパー

電子ペーパー事業からの撤退 2012年5月15日

ディスプレイ業界における液晶パネル価格の急速な低下及び競争激化が、当事業に大きな影響を与える状況となったことに鑑み、当社が従来から行っております、事業の「選択と集中」の中で慎重に検討を行った結果、当事業からの撤退を決断致しました。

液晶パネル価格の急速な低下と競争激化は後付けの理由であり、一番大きな理由は同社の電子ペーパー事業に大口の顧客がなかったことだ。
例えば、E Ink社の電子ペーパーはAmazonのKindleなどに様々な商品に採用されているが、ブリヂストンが展開していた電子プライスタグで、電子ペーパーを使った店を見かけることはなかった。

また、ブリヂストンが売りにしているカラー電子インクは、20年前の液晶のような表示品質というのも問題の1つだ。
将来は改良によりより、高コントラストで高速なカラー電子インクが実現できるだろうが、現在の液晶を見慣れた消費者にカラー電子インクを採用した電子ブックを提供しても、ほとんど興味を示さないだろう。

将来は電子プライスタグはもちろん、デジタルサイネージなど様々な分野に、電子インクの応用の幅は広がっていくだろう。比較的高コストな電子インクで、5年以上事業展開していたが、大口の顧客もない状況ではやめざるを得ないという事業判断をなされたのだろう。

同社の製品が近い将来どこかの製品に採用されることはなくなったが、他社からでもブリヂストン社の今までの技術を応用した魅力的な電子ペーパーが登場することを期待したい。

ブリヂストンの電子ペーパー ロードマップ

新聞への応用

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