1月 202010
 

AmazonがDTP(Digital Text Platform)を始めており、出版事業に手を出し始めていることは以前の記事 AmazonがKindleで狙うのは何か? で紹介しましたが、紙に印刷しないという利点を生かして、本自体の価格が下がることが予想されます。
価格が下がると、著者への支払いが下がることも考えられますが、実際はどうなるのでしょうか?

一般的に書籍などから著者が受け取れる印税は、書籍販売価格の10%程度です。つまり1,000円の本が1冊売れたら著者は100円受け取れることになります。
それ以外の900円は、編集費用、出版社の利益、紙代、印刷費用、製本費用、書店までの流通費用、書店の利益、本を広告宣伝するならその費用などになります。

電子出版の場合、紙に印刷、製本、流通に関係するコストは無くなりますので、このあたりの経費がざっくりと削減できます。
編集や、出版社を通さず、書いた物を自身がそのまま販売するなら、出版社や編集者に支払う費用も無くなります。

この場合、電子書籍を販売して得た利益は、著者への印税、電子書籍を販売するサイトだけが受け取ることになります。
当然ながら製紙会社や本を運搬する運送業者への支払いはなくなります。厳密には、電子書籍を販売するサイトを維持するためのサーバー費用、流通に関わるデータ通信料などがかかりますが、全体から見るとほとんど無料とも言える金額となります。

そこで、すでに始まっているAmazon DTPで著者が受け取れる印税ですが、2010年1月15日版のAmazon Digital Publication Distribution Agreement 5.4.1によれば

Amazon DTP 5.4.1 Royalties

Amazon DTPでは著者の印税が35%に

5.4.1 Royalties. Provided you are not in breach of your obligations under this Agreement, we will pay you, for each Digital Book sold to a customer (i.e., an end user) through the Program, a royalty (“Royalty”) equal to thirty-five percent (35%) of the applicable List Price for such Digital Book, net of refunds, bad debt, and any taxes charged to a customer or applied with respect to sales to a customer (including without limitation any value added or sales taxes).

Royalty(印税)は35%と書かれています。

つまり、Amazon DTPで電子書籍を出版する場合、定価の35%は著者が受け取り、残りの65%がAmazonが受け取ると言うことになります。
これはあくまでも、Amazon DTPが2010年1月時点で決めている設定であり、他の似たようなプラットフォームが、さらに著者に対して好条件を出したりすれば変わってくるでしょう。

この割合から計算すると、上記1,000円の本を電子出版でそのままの金額で販売した場合、著者には350円の印税が入ることになります。
紙の本の3.5倍の売り上げになるので、紙と同じ金額を受け取れればいいと著者が考えた場合、書籍の価格を300円に設定しても、著者の受け取り額は従来と同じ(この場合105円、100円の印税にするなら286円でもよい)になります。

つまり、本の価格を1/3程度に下げても、その本を実際に執筆する著者に経済的な負担をかけません。もちろん、紙会社、印刷製本、流通関係などは全く関わりが無くなりますし、そもそも紙の本と同等の数が売れるとも限りません。
また、紙に印刷し製本しない事で、読めなくなる方も増えるでしょうし、紙の本として物理的に初秋したいと思う方もいるでしょうから、すべての本が電子書籍だけになると言うことは当面あり得ないでしょう。

しかし、現在のAmazon DTPが設定している印税率だけを考えても、書籍の金額は電子版では1/3にすることが可能と言うことがよくわかります。

追記:
この記事を書いた約10時間後、Amazon.comは著者の印税率を70%にするオプションを発表しました。
AMAZON ANNOUNCES NEW 70 PERCENT ROYALTY OPTION FOR KINDLE DIGITAL TEXT PLATFORM, ENABLING AUTHORS AND PUBLISHERS TO EARN MORE ROYALTIES FROM EVERY KINDLE BOOK SOLD

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