スパコンのスカラー型とかベクトル型って何?

スーパーコンピューターの話題で、スカラー型かベクトル型かという議論があります。そもそもこのスカラーとかベクトルとは何でしょうか?

ものすごくわかりやすくすると、スカラー型は汎用的なパソコン。ベクトル型は専用の演算機というような感じです。
ベクトル型の方が演算が高速に出来るが、スカラー型は汎用品で速度はそこそこでコストが安いみたいな特徴があります。

もう少し詳しく書くと、ベクトル演算というのがありますが、これはスーパーコンピューターで行うような気象予測などの科学技術演算で多用する演算です。
専用のベクトル演算装置のあるスーパーコンピューターの方が、圧倒的に速いということになります。

しかし、スーパーコンピューターの世界ではベクトル型はほとんど使われていません。ほとんどのCPUがインテルやAMD製を採用したスカラー型となっています。
ベクトル型の技術を持っているのは日本のNECなどですが、スーパーコンピューターの採用例が少ないため、技術があってもあまり売れないというような状態です。

そんな中、NECがインテルと協業し、ベクトル型のハードやソフトに関する共同開発することが発表されました。
将来(2011年頃)登場予定のインテルのサーバー用プロセッサXeonにIntel AVX(Advanced Vector eXtentions)というベクトル演算機能が追加されます。

CPU開発の規模はますます巨大化し多くの投資が必要になります。技術があっても売れないのでは、開発に見合った回収が見込めません。
特にスーパーコンピューターのような単価が高くて数も出ない物では、開発に失敗しては会社自体の存続にも関わります。
そんな中、世界最大の半導体企業で、CPUのシェアも高いインテルが、今後さらに強化したいHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)の分野で、ベクトル型の技術のあるNECと組むというのは両社の利点を生かした選択であるといえるでしょう。

これによって、NECの技術が取り入れられる将来登場するXeonを使ったスーパーコンピューターは、スカラー型でありながらベクトルの機能も持った物となることが予想されます。

1980年代はCPUの種類でRISCかCISCかという議論がありましたが今ではほとんど語られることがありません。これはCISCがRISCの機能を取り入れるなどしたことが影響しています。
これと同じように、スカラー型とベクトル型の違いについても、将来は語られることはなくなることが予想されます。

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